「置き配」が再配達問題を救う?置き配の基本をおさらい

「置き配」が再配達問題を救う?置き配の基本をおさらい

アパートの玄関前になにかがある。しかも雨に濡れている。ドアを塞ぐようにそこにいるから、また厄介だった。この光景は、筆者の父が愛娘のために持ってきたが不在のため置きっぱなしにされた米30kgが生んだ悲劇だ。当時の私はひどく驚いた。30kgの米を家の中になんとか入れると、さすがにため息が出た。こんなのあり?!と。

だが今まさに、物流業界においてこの「置きっぱなし」が注目されている。結論から言おう、「置きっぱなし」は大いにあり!な時代が来ている。(安心してほしいのは、米30kg事件はただの導入のエピソードトークなので、今から紹介する「置き配」とはクオリティ的に全く異なるものであるということだ。)

1.置き配とは?

通常、ECサイトでの購入は直接荷物を受け取り、サインをすることで完了する。だが直接受け取れない時がある。帰宅時間が定まらない、体調不良でベットから出られない、怪我をしていてすぐに玄関に向かえない、ゆっくり入浴タイムを満喫している時などだ。また、チャイムをならしてほしくない時もある。赤ちゃんがちょうど寝た時、恋人といいムードの時。これは本当に邪魔されたくない。

置き配は、そんな方々にとって朗報といえるサービスだ。直接荷物を受け取らなくても、どこかに荷物を置いておいてくれる。あとはタイミングのいい時に、荷物をピックアップすれば良いのだ。置き場所には、例えば以下を指定することができる。家の中ではないが、限りなく家の中に近い個人の領域。「ここにあるのだからこの家の人のものだ、と判断できる領域」という感じだ。

  • 玄関前
  • 車庫の中
  • 物置の中
  • ガスメーターボックスの中
  • 自転車のカゴ
  • 洗濯機の中

「置き配」という言葉は比較的新しい。2018年、経済産業省と国土交通省が立ち上げた「宅配事業とEC事業の生産性向上連絡会」(以下、連絡会)の中ではじめて「置き配」という言葉が登場した。宅配便が我々の生活の一部になっている今、このライフラインを維持させるためにも、宅配便に関する問題は早く解決したい。

連絡会はこの問題を話し合う場であり、アスクル/Amazonジャパン/ヤフー/楽天/オルビス/ZOZO/ファンケルなどの大手EC事業者や、日本郵便/ヤマト運輸/佐川急便などの配送業者が参加している。まるでジェダイ最高評議会だ。再配達問題という名のダークサイドに立ち向かうため、一致団結し答えを出した。「置き配」と共にあらんことを、と。

2.置き配を利用するには

我々が「置き配」を利用するためには3つのポイントをクリアする必要がある。①置き配を指定できるECサイトであること②置き配をしてくれる配送業者であること③荷物が置かれる場所が確保されていることだ。

現在置き配を利用できるECサイトは以下の通りだ。(2019年3月現在)

Amazon

(デリバリープロバイダが配送する場合のみ可能)

Amazonショッピング置き配選択画面

楽天

(Rakuten EXPRESSを利用する場合のみ可能)

FANCEL

(1997年より開始している)https://www.fancl.co.jp/help/help_3_4.html#4

FANCEL置き配選択画面

LOHACO

(Happy On Timeを利用する場合にのみ可能)  https://lohaco.jp/support/happy_on_time

また、日本郵政も2019年3月玄関前への置き配サービスを開始した。通販会社や百貨店などを対象にしたサービスで、受け取り側は商品の発送連絡を受けた後、置き配にするかいなかを選択できるという。

3.置き配の効果

日本郵政の置き配への試みは積極的で、2018年12月にはスタートアップ企業Yper(イーパー)と協力し置き配の実証実験を行っている。イーパーが開発した置き配用バッグ「OKIPPA(オキッパ)」を1,000世帯に配り、どれだけ再配達を減らせるかデータを集めるという内容だ。結果は61%も再配達を減らすことができ、いたずらや盗難は0件だったという。4割近く再配達が残っている要因としては、お歳暮のシーズンで宅配ボックス預入不可の食料品が多かったことや、年末で大型の荷物が比較的多くなっていたことが挙げられるとのこと。OKIPPAは素晴らしいサービスなので、後ほどもう少し詳しく取り上げる。

出典:OKIPPAプレスリリース
出典:OKIPPAプレスリリース

置き配の課題

不在票の呪縛から解き放たれる「置き配」だが、やはり課題はある。盗難・雨風への不安や、オートロックマンションでの対応の難しさだ。

4.1置き配の課題 |盗難・雨風への不安

置き配に利用される場所は、いくら個人の領域とみなされる範囲であっても誰もが自由に出入りできるスペースである。100%盗まれないとは言い切れない。比較的治安が良いとされる日本においても、置き配の話があがると必ずといっていいほど「盗まれたらどうする」という声があがる。

また荷物が置かれる場所は家の外のため、当然雨や風が当たる可能性は高い。ダンボールは頑丈だが所詮紙のため、水を敵にしてしまうと中身を守ることができない。風にも飛ばされないか不安だ。特に玄関前に屋根や壁がない、あっても小さいタイプのアパート等は心配である。

アパートイメージ

世界に目を向けてみると、置き配がスタンダードになっていることが多くアメリカや韓国では不在時には玄関前に配達物が置かれる。ただやはり課題には盗難が挙げられ、ABCニュースの報道によるとアメリカ人の約10%が宅配物の盗難被害にあっているという。だが盗難補償よりも再配達のコストのほうが高くつくという理由から、荷物は玄関先に置きっぱなしにされ、その都度雨や盗難のリスクに晒されている。

4.2置き配の課題 |オートロックマンションでの対応の難しさ

オートロックマンションには玄関前などの個人の領域に、自由に出入りすることができない。そのためチャイムを鳴らし、反応が無ければ否応なしに不在票行きだ。宅配ボックスが無いオートロックマンションは東京23区外で約58%、横浜市では約53%と半数近くに及ぶという。(PR TIMES調べ)

5.置き配サービス

・OKIPPA(Yepr)

出典:OKIPPAサービスサイト

宅配ボックスならぬ宅配バッグだ。設置スペースが不要で手軽に導入できる。袋は手のひらサイズにたためるが、広げると120センチの大きな荷物もすっぽり入る。南京錠で施錠され、ワイヤーで玄関先などに固定されている。使い方は公式サイトから「OKIPPA」を購入後、玄関口などにバッグを吊り下げておき、通販サイトでお買い物をする際「置き配」を選択したり「OKIPPA希望」と記載してから注文するだけだ。もし盗難されてしまった場合にも3万円以内であれば保証してくれる盗難保険も提供している。

また、オートロックマンション向けのサービスも開発中であり、利用できるユーザがどんどん増えていきそうだ。

オートロック解錠システム今回、利用試験するOKIPPAオートロックシステムは、上記のように配送員を解錠判別の対象とするのではなく、荷物固有の配送伝票番号を判別対象とし、対象の荷物がその建物に配送されるものかどうかを自動識別して解錠する(※)。この方法により、インターフォン映像だけでは判別できないような、配送員へのなりすまし等も防ぐことが可能になり、既存物件でもシステムの導入及び運用コストも大幅に下げることができる。※ Yper株式会社にて特許申請中

Yepr株式会社プレスリリースより

・Amazon key(米国Amazon)

外出先から一時的に玄関の鍵を解除できるのがAmazon keyだ。スマホで解錠・施錠できるスマートロックと連動させている。Amazon keyを利用すれば、配達員がチャイムを鳴らしたタイミングでドアを遠隔で開け、荷物を家の中に置いていってもらえる。外出先でも玄関前の状況を確認できるスマートドアベル等を展開している。

6.最後に

ちなみに父が置きっぱなしにした米30kgは、3日間家を空けていた間、誰にも取られること無くただ私の帰りを待っていた。もし父が私の不在を理由に、米30kgを持ち帰り、また4階まで上がって持ち帰りまた次の日も、その次の日も持ってきてくれていたら…。確実に腰をやっていただろうし、何より父は途中で諦めてしまっていたかもしれない。置きっぱなしにしてくれていたおかげで、あの頃の私は米を思う存分、かけこむことが出来たのだ。置きっぱなしという選択は間違っていなかったのだと、今になって思う。

再配達問題は、今の日本にとって解決が急がれている問題のひとつだ。そして置き配は、確実に再配達問題を解決する方法のひとつといえる。気になった方は是非、置き配を生活に取り入れてみてほしい。新しい取り組みを行えば課題が出てくるのは必然で、またその課題を解決するために新しい取り組みを行い、良いサイクル生まれる。ひとりひとりの意識と行動が浸透すれば、課題解決の突破口になりえる。「置きっぱなし」は我々の味方なのだ。

PICK UPカテゴリの最新記事