ラストワンマイルから一般貨物も!オンデマンド配送が造る物流の未来

ラストワンマイルから一般貨物も!オンデマンド配送が造る物流の未来

「オンデマンド」。皆さん、この名前を聞いて何を思い浮かべるだろうか。

某大人な動画制作会社を思い浮かべた貴方は、「健全エロ小僧」の称号を与えるとしよう。

ではなく、「オンデマンドエコノミー」というワードを見かける機会が多くなった気がする。

このワードだけ目にしても、はて?と思う方も、「Uber」「Airbnb」が所謂オンデマンドエコノミーであると説明するとイメージが湧くのではないだろうか。

実は物流業界でもオンデマンドエコノミーならぬ「オンデマンド配送」が発達している。

東南アジアではかなり流行しており、日本でもそのサービス開始が広がりつつある。

今回は、そんな「オンデマンド配送」にスポットを当ててみる。

1.オンデマンド配送とは

1.1 オンデマンドエコノミーのおらさい

まず、オンデマンド配送の説明を行う前にオンデマンドエコノミーのおさらいをする。

必要なときに、必要な商品やサービスを、必要な場所に届ける。そんな「オンデマンドサービス」が続々と登場している。このオンデマンドサービスを提供するビジネスが、「オンデマンドエコノミー」と呼ばれ拡大している。

例えばUber。一般人が空いた時間を利用してタクシー運転手のような仕事を行い、スマホアプリを通じてマッチングした一般人が利用するというライドシェアリングサービスだ。

Airbnbも該当する。正式なホテルなどの宿泊施設ではなく、世界各国の現地の人たちが、自宅などを宿泊施設として提供する。宿泊を希望する人々が、アプリから行き先や宿泊期間、部屋のタイプを入力して、提供された宿泊施設を検索できる。

よく知らない土地でタクシーを探す手間を考えたらUberのサービスは心強いし、Airbnbの利便さもさることながら、宿泊をとおした宿泊地特有の文化や交流の体験も可能だ。

UberAirbnbも、該当するオンデマンドサービスを円滑に実現することを可能としている。これがオンデマンドエコノミーである。

1.2東南アジアを中心に流行しているオンデマンド配送サービス Lalamove

では、「オンデマンド配送」ってなんだんだという話だ。

オンデマンド配送は、「オンデマンドエコノミーの配送(物流)版」である。

「必要な時に必要なものをすぐ配送したい」を実現するサービスだ。

例え話をひとつ。

あなたが転勤などで急な引っ越しが必要になったとする。

引っ越し会社に問い合わせても急だから対応不可。自分一人ではとても家具全てを運べない。こうなると通常は便利屋を雇いなんとか人員を確保し、レンタカーをバタバタ借りて引っ越しのセッティングという流れになると思う。

オンデマンド配送は、こんな急な配送作業もアプリひとつで全てセッティングしてくれるのだ。

東南アジアを中心に流行しているLalamoveを取り上げる形で、詳細な説明をしていこうと思う。

・Lalamove

出典:https://www.lalamove.com/thailand/bangkok/th/home

lalamoveの配送サービスは、Uberなどと同様、スマートフォンアプリを介して利用します。アプリ上で、荷主の所在地・配送先・荷物のサイズなどを入力し、予約手続を完了させると、lalamove独自のマッチングシステムによって、登録配送員の中から最適な担当者が瞬時に指定される仕組みとなっています。

引用:https://thebridge.jp/2015/02/lalamove

利用方法は以下の通り。

1. スマホにLalamoveアプリをダウンロードして、アカウント登録

2. バイク、ハッチバック、ピックアップトラックの中から希望車両を選択

3. Pick-up&Drop-offしてもらう場所を選択

4. 追加したいオプションがあれば別途選択

5. 配送希望日&時間を選択

6. 支払い方法を選択(プロモコードがあれば入力)

7. 予約完了

引用:https://bochibochika.hatenadiary.com/entry/thai-bangkok-lalamove-moveout-application

なるほど。これらを踏まえると、なんとなく「物流版Uber」みたいなイメージがつく。アプリを介して物流面のオンデマンドサービスを円滑に実現することを可能としており、まさしく「オンデマンドエコノミー」、オンデマンド配送サービスと言われても納得がいく。所定の場所に急いで届けないといけない荷物が発生した場合、スマホ1つでマッチング(専用配送員の確保)が可能になるのは、かなり便利ではなかろうか(急な発送が求められるAmazonなどにもうまく活用できそうでもある)。

実はこのLalamove。近年アジア圏を中心にバズっており、資金調達や成長速度が著しく伸びている。

ラストマイル物流企業の Lalamove は、新規投資家の Sequoia China(紅杉資本)と Hillhouse Capital(高瓴資本)がリードするシリーズDラウンドで3億米ドルを調達した。

(中略)

Lalamove はラストマイル物流ソリューションを提供しており、アプリで自動車保有者やバイク便配送サービスとユーザをつないでいる。大中華圏の各都市に加え、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピンの諸都市でもサービスを提供している。登録配送員数は300万、2,800万以上のユーザにサービスを提供してきたという。

引用:https://thebridge.jp/2019/02/lalamove-hauls-300m-sequoia-hillhouseled

2013年12月に香港でスタートアップしたのだが、およそ5年でシリーズDラウンドで3億米ドルを調達、サービス提供は大中華圏だけでなく東南アジアまで広がっており成長速度が著しい事が示唆される。オンデマンド配送は、アジア圏では既に馴染みのあるサービスとなっている。

1.3その他サービス

オンデマンド配送を展開しているのはLalamoveだけない。そのほか主要なオンデマンド配送サービス「GOGOVAN」と「Uber Freight」について軽く紹介しよう。

・GoGoVan

GoGoVanは台湾で展開されているオンデマンド配送サービスである。

アプリを介したマッチングサービスの提供はLalamoveと同じ様な形だが、GoGoVanはバンタイプの車や5.5t、9tトラックに特化してサービス展開している。大きめの荷物を配達したい時に便利そうだ。

出典:https://www.gogovan.com.hk/

・Uber Freight

LalamoveやGoGoVanと同様のサービス展開を行なっているが、Uber Freightは運送屋や個人トラック配送員に特化して配送員確保をしている。ここまでくると、所謂「ラストワンマイル」でなく「一般貨物(地場運送)」にまで、オンデマンド配送が普及している事がわかる。

出典元:https://www.uber.com/ja-JP/newsroom/uberfreight/

2.日本で広がるオンデマンド配送

実はオンデマンド配送の波が日本でも広がりつつある。

国内の主要なオンデマンド配送サービス「ハコベル」「PICKGO」を紹介、また「買い物代行サービス」についても軽く紹介しよう。

2.1ハコベル

・ハコベル

ハコベルは印刷のシェアリングエコノミーの先駆けであるラクスル株式会社が運営しているオンデマンド配送サービスである。

出典:https://hacobell.com/

ハコベルは荷主と運送会社をオンラインで直接繋げる運送マッチングサービスである。

荷物を送りたい企業・個人と空き時間に仕事を受注したい軽貨物配送員をマッチングする「ハコベルカーゴ」(先述したLalamoveのモデルに近い)、自社・協力会社の配車管理と、繁閑期の求貨求車が簡単にできる一般貨物/物流事業者向けの物流プラットフォーム「ハコベルネクスト」を展開している(先述したUber freightのモデルに近い)。

出典:https://hacobell.com/

従来、日本の物流業界でピラミッド型発送モデルとは異なり、ネットワーク型発送モデルを構築できる事で、オンデマンド配送を実現できるとのこと。

出典:https://hacobell.com/

ハコベルカーゴではカーゴ便、軽トラック便、小型トラック便、中型トラック便と配送便のバリエーションも豊富であり、細かい荷物からまとまった量の荷物まで幅広く配送できる。

軽貨物と一般貨物/物流事業者向け其々にサービス展開している点も、手厚さを感じて好印象だ。

軽貨物向けサービス「ハコベルカーゴ」の紹介HPでは導入事例も紹介されており、サービス内容のイメージもつきやすい。

基本的な利用方法は先述したLalamoveと同様であるが、ハコベルは現状アプリリリースはしておらずネットでの受付となるので、その点は留意が必要だ。

2.2PickGo

・PickGo

PickGoは軽貨物の配送に特化したマッチングサービスである。

幅1.3m、奥行1.8m、高さ1.2mの荷台に積載でき、合計で350kg未満の物量であれば対応が可能であり、アプリを介して配送員と荷主を直接マッチングする事ができる。

出典:https://pickgo.town/

出典元に登録配送員のインタビューも掲載されているが、時間に過度に拘束されない点が大きな利点と感じているようだ。確かに大手物流会社の配送員は、再配達問題などで多大な時間拘束を受けている印象がある。

物流版Uberの「PickGo」、フリーランス配送員が業界最多の10,000名を突破

(中略)

物流業界全体が配送員の人手不足と言われている中、PickGoでは登録配送員数が毎月増えており、順調な成長を遂げています。前年同月(2月)の配送員総登録数と比較すると、3.2倍に増加しております。

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000016726.html

引用にもある通り、物流業界全体が配送員の人手不足に喘いでいる中、PickGoの登録配送員は10000名を突破、それが功を奏してかマッチング率は驚異の99.2%とのことだ。アプリを介した手軽さと軽貨物に特化したモデルは、例えば急な単身赴任の引っ越しやイベントの荷物搬入などで重宝しそうだ。

2.3買い物代行サービス

また、こんなユニークなオンデマンド配送もあるんだよってのを軽く紹介。

・インスタカート

インスタカートは食料品の即日配達サービスである。消費者はアプリを通じて小売業者が販売する購入したい食料品を選ぶ。

出典:https://www.instacart.com/

インスタカートアプリでオーダーすると、インスタカートに登録をしているアルバイト(個人のショッパー)が小売業者へと買い物に行って、家まで届けてくれる。汚い言葉でいうと「パシリ」的な印象だが、これもれっきとしたオンデマンド配送の一種である。

出典:https://page.twidy.jp/

また、日本版インスタカートであるTwidyがライフなど小売業者3社と提携し、東京都の一部区間でローンチされたのも注目である。

3.オンデマンド配送が造る物流の未来

今回はオンデマンド配送に関して紹介した。

UberやAirbnbの存在はなんとなく知識としてご存知の方も多いと思うが、「必要なときに、必要な商品やサービスを、必要な場所に届ける」の便利さが物流業界にも及んできた。

「物流版UBER」なんて表現をしたが、ネットワーク型モデルを積極的に取り入れることによりAmazonの即日配送などにも柔軟に対応できそうだ。以前記事に挙げた配送員の激務(詳細はこちら)軽減にも繋がる可能性は高い。もちろん、急な配送が必要になる機会が生じた際も必ず重宝するだろう。

また、買い物代行サービスは病気や怪我などで外出がしづらい方にも重宝されるのではないだろうか。

またオンデマンド配送は、シェアリンゴエコノミーの要素が入っている。

働きたいが時間の拘束が対応できない人員や遊休状態の輸送車などのリソースを、中間マージンが発生しない形で有効活用できるネットワークを構築できる点は、ストレス軽減や環境問題にも配慮ある大きな利点と考える。

オンデマンド配送のより良い発展は、最終ユーザーの生活および運送業者の配送効率の改善、牽いては我々の生活の豊かさに直結する革新的かつ必要不可欠なサービスとなる事だろう。

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