ヤフーとアスクルの業務提携解消、物流改革への先行投資

ヤフーとアスクルの業務提携解消、物流改革への先行投資

アスクル(岩田彰一郎社長)が筆頭株主のヤフーに対し、資本・業務提携の解消を申し入れている。共同運営するインターネット通販サイトの事業譲渡をヤフー(川辺健太郎社長)が求め、アスクルが拒否し関係が悪化。アスクルは提携関係の維持は難しいと判断し、独自路線での成長を目指す。ヤフーに代わる資本提携先として複数の事業会社や投資ファンドと交渉中で、出資に向けた詰めの作業に入っている。18日の会見でも岩田社長は「全てが不可解」「支配株主による成長事業の乗っ取りだ」と述べ、ヤフーを強く批判した。

 

出典:https://www.kyoto-np.co.jp/economy/article/20190718000079

電子商取引(EC)の強化を狙うヤフーは、82日にアスクルが開く株主総会で、岩田彰一郎社長の再任議案に反対票を投じると宣言。業績悪化を理由に「岩田社長の事業計画の立案力および事業計画の遂行力に疑問を抱くに至った」としている。一方、「今後もLOHACO事業の譲渡を申し入れる方針はない」「アスクルの株式を譲渡する予定はない」などとしたニュースリリースを発表した。

出典:https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2019/07/18b/

双方の意見の食い違いが顕著であり、対立は深刻な状況である。

出典:https://lohaco.jp/

アスクルは2012年にヤフーと資本提携し、一般消費者向けに日用品のインターネット通販サービス「LOHACO(ロハコ」を立ち上げた。発表資料によると、ロハコ事業の19年5月期は92億円の損失。売上高は652億円であり前年比128.7%であるものの、営業利益としては損失である。

出典:https://kigyolog.com/company.php?id=86

損失の原因として挙げられた大きな要因のとして、インターネット経由で日用品などを買う消費者のニーズ(ECの拡大)を背景に、同社の物流拠点への投資で固定費が増え、利益が圧迫される「いたちごっこの状況」(岩田社長)の継続や、人手不足や再配達問題が契機となった物流センター稼働費や配送運賃などの運用コスト増大が挙げられる。

岩田社長は打開策として、「物流センターの生産性を上げる」先行投資を実行した。

高精度の画像認識システムを持つピッキングロボットの導入し、商品在庫の数や配置の自由度が向上。在庫効率と作業生産性などが約3倍に改善し、物流センターにかかる固定費に対する出荷能力の向上で、利益体質の改善につながった。

 

出典:https://newswitch.jp/p/5386

配送では不在率の低減を目指し、10分前に到着時間を知らせるサービスを試験導入。アスクルが持つ配送管理システムと、交通状況や天候などの外部情報のビッグデータ(大量データ)を日立製作所のAI技術で分析し到着時刻の精度を上げる取り組みを継続している。

また、ロハコの主なターゲットとする30―40代の働く女性の需要を取り込むため、化粧品専門サイトで資生堂やP&Gのカウンセリング化粧品、酒類や食品などの取り扱いも始めた。

これらの対策で、長期的な目線で営業利益の回復を目指す形であるが、継続する損失状況が契機となり、今回の対立が生まれた展開である。

 

売上高は増加傾向であることから、ターゲットに対する需要に応えている点は伺える。一方、先行投資コスト回収にあたり不要なコストとなるのは、再配達などにより生じる「無駄な配送費」である。需要が増えるほど、未対策であればいたずらに嵩むコストなのだ。物流のラストワンマイルで、より再配達を軽減できる効率の良い配送の実現が求められる。

再配達問題を引き起こす宅配荷物の増加と社会的損失について

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